S&P 5006,816.89 -0.11%
NASDAQ22,902.90 +0.35%
日経平均56,502.77 -0.74%
SOX指数8,889.83 +2.31%
ドル円159.68 +0.27%
VIX19.23 -1.33%

自動車関税25%・META-13%──S&P 500「5週連続安」、VIX 31が映すXデー前夜の恐怖

朝倉 隼人2026年3月28日11 min read
自動車関税25%・META-13%──S&P 500「5週連続安」、VIX 31が映すXデー前夜の恐怖

サマリー: トランプ政権が自動車関税25%を発動予告し、METAが週間-13%の暴落。S&P 500は5週連続安で6,369まで沈み、VIXは31に急伸した。一方、日経平均は週間レンジ3,500円の乱高下を演じながら、終わってみれば前週比±ゼロという不思議な一週間だった。

今週のハイライト

1. トランプ、自動車関税25%を4月2日発動と予告──26日(木)、トランプ大統領が輸入自動車に対する25%関税を4月2日から発動すると発表。これがきっかけとなりS&P 500は木・金で合計-3.3%の急落を記録した。GM、フォードなど米自動車株に加え、トヨタ、ホンダなど日系メーカーにも売りが波及。サプライチェーン全体のコスト増懸念が市場を覆った。

2. META-13%、マグニフィセント7から1兆ドル蒸発──Metaが週間-12.97%と暴落し、出来高は通常の3倍に膨れ上がった。NVIDIAも-4.6%、Amazonが-3.8%、Teslaが-5.2%と軒並み売られ、マグニフィセント7のETFは年初来で約-10%。時価総額にして1兆ドル超が蒸発した。AI投資の回収期待と現実のギャップ、関税リスク、金利高止まりの三重苦がビッグテックに集中砲火を浴びせている。

3. VIX 31突破──「恐怖領域」に突入──週末のVIXは31.05で引け、3月に入ってからの最高値を更新。4月2日の「相互関税」発動を目前に控え、市場のストレスが臨界点に近づいている。

米国市場の1週間

S&P 500は6,369で週を終え、前週比-2.11%。これで5週連続の下落となり、年初来の下落幅は-6.1%に拡大した。

曜日S&P 500前日比主な材料
6,581+1.15%前週急落の反動でリバウンド
6,556-0.37%買い続く材料なく失速
6,592+0.54%コンファレンスボード消費者信頼感が予想上振れ
6,477-1.74%自動車関税25%発表、META-8.0%
6,369-1.67%売り加速、NASDAQ-2.15%

NASDAQ(20,948、週間-3.23%)の下げがダウ(45,167、同-0.90%)を大きく上回った。テクノロジーセクター(XLK)が週間-5.1%と全セクター中ワーストを記録する一方、エネルギーセクター(XLE)は原油価格の反発を追い風に+4.9%と逆行高。「テック売り・コモディティ買い」のローテーションが鮮明になった週だ。

セクターローテーションとは?
景気サイクルや政策変動に応じて、投資資金が「成長株→割安株」「テック→コモディティ」のように異なるセクター間を移動する現象。今週はリスク回避と関税懸念からテクノロジーが売られ、実物資産に近いエネルギーに資金が流入した。

米10年債利回りは週を通じて4.33〜4.42%のレンジで推移。木曜のテック急落時には4.33%まで低下(フライト・トゥ・クオリティ)したが、金曜には4.42%へ反発した。FF金利は3.64%で据え置きのまま。FRBは年内2回の利下げを示唆しているが、関税によるインフレ再燃リスクが利下げの足かせになるとの見方が広がっている。

日本市場の1週間

日経平均は53,373で週を終え、前週比でほぼ±ゼロ(+0.5円)。しかし、この数字は実態を何も語らない。

曜日日経平均前日比注目点
51,515-3.48%春分の日明け、ギャップダウンで急落
52,252+1.43%米国リバウンドを受け自律反発
53,750+2.87%大幅続伸で前週水準を回復
53,604-0.27%利益確定で小反落
53,373-0.43%米テック急落を織り込み

週間の安値は月曜の50,689円、高値は木曜の54,176円。実に3,487円(約6.5%)のレンジを往復した。前週の週間レビューでも「往復ビンタ」と表現したが、今週も同様のパターンが繰り返された。

ギャップダウンとは?
前日終値より大幅に低い水準で寄り付く現象。休場中の海外市場の変動を一気に織り込む際に発生しやすい。今週月曜は春分の日の休場中に米国株が急落しており、東京市場は「2日分の下げ」を朝一に消化した。

注目はTOPIXが日経平均を上回るパフォーマンスを見せた点だ。銀行株(三菱UFJなど)やバリュー株が底堅く推移し、ハイテク偏重の日経平均よりも広範な市場の回復力が強かった。

セクター動向

米国セクター(週間パフォーマンス)

セクターETF週間変動
エネルギーXLE+4.9%
金融XLF-2.9%
ヘルスケアXLV-1.7%
資本財XLI-0.9%
テクノロジーXLK-5.1%

エネルギーの逆行高が際立つ。週初にWTI原油が88ドル台まで急落した後、週後半には93ドル台まで急反発。関税発動に伴うインフレ期待の高まりと、OPECプラスの協調減産維持の思惑がエネルギー株を押し上げた。

一方、テクノロジーは壊滅的だった。META-13%を筆頭に、NVIDIA-4.6%、Apple-1.6%と主力銘柄が軒並み売られた。AI設備投資の巨額さ(年間3,760億ドル規模)に対し、収益化の道筋が見えないという市場の不信感が表面化した形だ。

日本市場では、自動車セクターが関税直撃の懸念から週末にかけて売り圧力が強まった。トヨタ、ホンダなど完成車メーカーに加え、デンソーやアイシンなど部品メーカーにも影響が及んだ。逆にファーストリテイリングなどの内需ディフェンシブ銘柄がリスク回避の受け皿として買われる場面が見られた。

マクロ・為替・金利

ドル円は160円に接近。週末時点で159.70円と、前週の約157.9円から約1.8円の円安が進行した。日米金利差の拡大(米10年債4.42% vs 日本の低金利)がキャリートレードを誘発し、じわじわと160円の節目に迫っている。日銀の介入警戒ラインが意識される水準だ。

新規失業保険申請件数(ICSA)は3月21日週で21.0万件と前週の20.5万件からやや増加。ただし水準は依然として歴史的に低く、労働市場の底堅さを示している。

新規失業保険申請件数(ICSA)とは?
米国で初めて失業保険を申請した人の週間件数。20万件前後なら労働市場は堅調、30万件を超えると景気後退の兆候とされる。毎週木曜に発表され、景気の「リアルタイム体温計」として注目度が高い。

来週の展望

4月2日「相互関税」発動──今年最大のリスクイベント

来週のカレンダーは「Xデー」一色だ。4月2日に予告されている相互関税の全容がなお不透明であり、市場は最悪シナリオを織り込みに動いている。

  • 4月1日(火): 米国ISM製造業景況指数──関税前の駆け込み需要で上振れの可能性。ただし先行きの受注は急減リスク
  • 4月2日(水): 相互関税発動予定日──自動車25%に加え、どこまで品目が拡大するかが最大の焦点。EU・中国の報復関税のリスクも
  • 4月3日(木): 米国ISM非製造業景況指数──サービス業への波及度を確認
  • 4月4日(金): 米国雇用統計(3月)──非農業部門雇用者数の事前予想と乖離があれば大きく動く
  • 日本: 日銀短観(4月1日)──企業の景況感と設備投資計画。円安・関税環境下での先行きDIに注目

VIXが31という水準は、市場が「いつ急変してもおかしくない」と身構えていることを意味する。4月2日を無事通過できるか、あるいは関税の全容が「予想より厳しい」と判明して更なる下落を招くか──来週の相場は、今年前半の方向性を決定づける可能性がある。

日経平均
53,373
+0.00%
S&P 500
6,369
-2.11%
NASDAQ
20,948
-3.23%
ダウ平均
45,167
-0.90%
USD/JPY
159.70
+1.80
VIX
31.05
+4.10
米10年債
4.42%
+0.03
FF金利
3.64%
±0.00

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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