S&P 5006,816.89 -0.11%
NASDAQ22,902.90 +0.35%
日経平均56,493.15 -0.76%
SOX指数8,889.83 +2.31%
ドル円159.70 +0.28%
VIX19.23 -1.33%

日経+7.2%・VIX 20割れ──リリーフラリー4週連続、決算シーズンが楽観の「耐久テスト」に

朝倉 隼人2026年4月11日11 min read
日経+7.2%・VIX 20割れ──リリーフラリー4週連続、決算シーズンが楽観の「耐久テスト」に

サマリー: リリーフラリー第二幕が本格化し、日経平均は週間+7.2%の急騰で56,924円に到達。米国もS&P 500が+3.6%の4週連続高で、VIXは19.2と約1カ月ぶりに20を割り込んだ。ただし米10年債利回りは4.29%と低下基調が続き、債券市場と株式市場のメッセージには依然としてズレがある。

今週のハイライト

1. 日経平均+5.4%の急騰劇(4月8日)──水曜日の東京市場で日経平均が一日で+2,879円(+5.39%)急騰し、56,308円に到達した。3月末の51,064円からわずか6営業日で+10%超の反発。半導体・大型ハイテクへの資金集中が鮮明で、TOPIXの上昇率(+3.25%)との乖離が値がさ株主導のラリーを物語る。

2. VIXが20割れ──恐怖指数「正常化」──4月7日に25.78まで跳ねたVIXは、8日以降急速に低下し、9日に19.49、10日には19.23まで沈んだ。3月末の30超えから2週間で「パニック→平常」に戻った形だ。ただし、20割れはオプション市場が「次のショック」を織り込んでいないことでもあり、楽観の裏返しでもある。

3. Amazon+5.6%に象徴される「関税耐性」銘柄への選別──4月9日にAmazonが+5.6%の急伸。AWSクラウド事業を軸に、物理的サプライチェーンへの依存度が低い「関税耐性」が再評価された。企業の8-K(臨時報告)で「tariff(関税)」に言及する開示が10件超に急増しており、関税リスクは銘柄選別の基準として定着しつつある。

日本市場の1週間

日経平均は前週末の53,123円から金曜終値56,924円まで、週間+3,801円(+7.15%)の大幅上昇。2週連続のプラスとなった。

日次の推移を振り返ると、この上昇の大半は水曜日1日に集中している。

日付終値前日比
4/6(月)53,414+0.5%
4/7(火)53,430+0.03%
4/8(水)56,308+5.39%
4/9(木)55,895-0.73%
4/10(金)56,924+1.84%

月曜・火曜は前週の乱高下を経て53,400円台で膠着。水曜に一気に窓を開けて急騰し、木曜に利益確定の反落を挟んだ後、金曜に再び上昇して56,924円で週を終えた。

日経平均とTOPIXの乖離とは?
日経平均は225銘柄の株価単純平均型で、値がさ株(株価の高い銘柄)の影響が大きい。TOPIXは全上場銘柄の時価総額加重型。半導体やハイテクなど値がさ株が急騰すると日経平均だけが突出して上がり、TOPIXとの乖離が広がる。今週の日経+7.2%に対しTOPIX+2.6%という差は、ラリーの裾野が限定的であることを示唆する。

セクター別では、半導体・電子部品が圧倒的な強さを見せた。東京エレクトロン、レーザーテック、ディスコなど値がさ半導体銘柄が指数を押し上げた。一方、自動車は円安基調(USD/JPY 159円台)を背景に底堅いものの、関税リスクの不透明感から上値が重い展開が続いた。キーエンスが+1.55%の逆行高を見せるなど、銘柄ごとの選別色が強まった1週間だった。

米国市場の1週間

S&P 500は前週末の6,583から6,817まで、週間+234ポイント(+3.56%)の上昇。4週連続の上昇で、3月末の急落分をほぼ取り戻した。

指数前週終値今週終値週間騰落
S&P 5006,5836,817+3.56%
NASDAQ21,87922,903+4.68%
ダウ46,50547,917+3.04%

日次で見ると、月曜(+0.4%)・火曜(横ばい)は膠着していたが、水曜に+2.5%の急騰が発生。前日まで模様眺めだった市場が、関税の実体経済への影響が「想定内」にとどまっているとの見方から一斉にリスクオンに傾いた。ダウの+1,325ドルは今年最大級の上げ幅となった。

木曜はAmazon(+5.6%)が牽引してS&P 500は+0.62%の3日続伸。VIXは19.49と20割れを記録した。金曜は小幅反落(-0.1%)で、週末を前にポジション調整が入った格好だ。

テクノロジーセクターが一貫して指数を牽引し、NASDAQ(+4.68%)がS&P 500(+3.56%)やダウ(+3.04%)を上回った。「関税の影響を受けにくいソフトウェア・クラウド系」への資金集中が日米共通のテーマとなっている。

マクロ・金利環境

FF金利と10年債──2つの金利が語るもの

FF金利は3.64%で据え置き。FRBは3月のFOMC議事要旨(4月9日公表)で、インフレ抑制と景気下支えの間で慎重なバランスを取る姿勢を改めて示した。市場が期待する年後半の追加利下げは、まだ確定的なシナリオにはなっていない。

米10年債利回りは4.35%→4.29%と、週間で6ベーシスポイント低下した。前週の4.44%→4.35%に続く低下で、2週連続で債券が買われている。株がラリーしている中での金利低下は「景気減速を先行して織り込んでいる」とも「利下げ期待が高まっている」とも読める。

株高と金利低下の「矛盾」とは?
通常、景気が好調なら株は上がり金利も上がる(債券は売られる)。株が上がりながら金利も下がる状態は「景気に対する見方が株と債券で食い違っている」ことを意味する。過去にはこの乖離が長く続かず、どちらかが修正されるケースが多い。

新規失業保険申請件数──労働市場に微妙な変化

4月4日発表の新規失業保険申請件数は21.9万件と、前週の20.3万件から増加。3月中旬の20.5万件、21.1万件に比べてもやや高い水準だ。単週のデータで結論を急ぐべきではないが、関税影響が雇用市場に波及し始めている可能性を示す初期シグナルとして注視が必要だ。

USD/JPY──159円台で膠着

ドル円は159.25円で週を終え、前週の159.55円からほぼ横ばい。週中に一時157.89円まで円高が進む場面があったが、米金利の反発とともに159円台に押し戻された。財務省の口先介入が続く中、160円の節目が引き続き意識されている。

セクター動向

半導体: 週間で最も強かったセクター。日米ともにAI投資拡大期待が資金を呼び込み、NVIDIAは底堅く推移。東京エレクトロンなど日本の半導体装置銘柄も連れ高した。

テクノロジー(ソフトウェア・クラウド): Amazon+5.6%に代表される「関税耐性」テーマが加速。物理的サプライチェーンへの依存度が低いビジネスモデルが選好された。

金融: 来週の大手銀行決算を控え、ゴールドマン・サックスやJPモルガンへの期待買いが下支え。金利低下は本来マイナス材料だが、決算期待が相殺した。

自動車: トヨタは火曜に上昇した後、水曜に-1.57%。関税の対日自動車への影響が不透明なまま、方向感を欠く展開が続く。

来週の展望

来週は米大手銀行の決算シーズンが開幕する。JPモルガン、シティグループ、ゴールドマン・サックスなどの1-3月期決算が相次ぎ、関税環境下での企業業績の実態が初めて明らかになる。

  • JPモルガン・チェース決算── 融資需要と引当金の動向。景気見通しを占うバロメーター
  • 米小売売上高── 消費者の関税反応が数字に表れ始めるか
  • ECB政策金利発表── 欧州の金融政策がドル相場に波及する可能性
  • 日銀・植田総裁の発言機会── USD/JPY 159円台が続く中、為替政策へのスタンスに注目
  • 関税関連の企業開示── 8-Kでの「tariff」言及が加速中。決算シーズン本格化で一段と増える見込み

リリーフラリーは4週間続いた。しかし、その原動力は「実体経済が改善した」ことではなく、「想定ほど悪くなかった」という消去法的な安心感だ。来週始まる決算シーズンは、この「想定内」の前提を数字で検証する最初の機会となる。VIX 19台という低ボラティリティは、良い決算なら素直に上昇、悪い決算なら急落というどちらにも振れやすい状態を意味する。楽観の持続力が試される1週間になる。

日経平均
56,924
+7.15%
TOPIX
3,965
+2.56%
S&P 500
6,817
+3.56%
NASDAQ
22,903
+4.68%
ダウ平均
47,917
+3.04%
USD/JPY
159.25
-0.30
VIX
19.23
-19.4%
米10年債
4.29%
-0.06

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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