サマリー: 米最高裁がトランプ関税を違憲と判断し米国株は反発したが、大統領は即座に別の法的根拠で10%グローバル関税を発動、週末には15%への引き上げまで表明した。日経平均は642円安。Blue Owl問題によるプライベートクレジット不安と中東リスクが重なり、連休前の東京市場は売りに押された。
米国市場
2月20日の米国市場は、最高裁の関税違憲判決を好感して主要3指数が揃って反発した。S&P 500は+0.69%の6,909、NASDAQは+0.90%の22,886、ダウは+0.47%の49,625で引けている。
この日最大のニュースは、連邦最高裁がIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づくトランプ関税を6対3で違憲と判断したことだ。ロバーツ長官が多数意見を執筆し、「大統領が関税を課す権限はIEEPAには含まれない」と明確に線を引いた。注目すべきは、トランプ大統領が指名したゴーサッチ、バレット両判事も多数派に回った点で、党派を超えた判断となっている。
マーケットの反応は素直だった。関税撤廃の恩恵を受けるEC関連が軒並み上昇し、Etsyが+8.4%と急伸。Wayfair、Amazon、eBayにも買いが入った。テック系ではAlphabetが+4%超、Micron TechnologyもAIメモリ需要への期待から堅調だった。
ただし、喜びは長続きしなかった。トランプ大統領は判決直後に1974年通商法第122条を持ち出し、10%のグローバル関税に署名。さらに22日(土)には15%への引き上げを表明している。第122条に基づく関税は150日間の時限措置で、延長には議会承認が必要となる。法的根拠を変えて関税を維持するこの動きは、不透明感の払拭にはほど遠い。
日本市場
日経平均は3日ぶりに反落し、前日比642円安(-1.12%)の56,825円で引けた。TOPIXも-1.2%の3,805と軟調。連休前の薄商いのなか、悪材料が重なった格好だ。
下げの引き金となったのはBlue Owl Capitalの問題だ。同社がプライベートクレジットファンドの投資家償還を制限し、14億ドルの貸出資産を売却したと報じられ、プライベートクレジット市場全体に信用不安が波及した。Blue Owl株は約10%下落、Apollo、Blackstone、Aresなど同業大手にも売りが広がっている。
もう一つの重しは地政学リスクだ。米イラン間の核交渉を巡る緊張が高まり、連休を控えたポジション整理の売りが加速した。なお、海外投資家は2月第2週まで6週連続で日本株を買い越しており、そもそも調整が入りやすい局面だったとも言える。
本日2月23日は天皇誕生日で東京市場は休場となる。
注目テーマ
最高裁 vs. 大統領──関税を巡る「いたちごっこ」の行方
今回の最高裁判決は、大統領の通商政策に対する司法の明確な歯止めとなった。しかし大統領は間髪入れず別の法的根拠で新関税を発動しており、「一つ潰されたら次の手を打つ」という構図が鮮明になっている。市場が本当に注視すべきは、150日の期限が切れる前に議会がどう動くか、そして貿易相手国が報復に出るかどうかだ。関税の法的根拠が変わっても、サプライチェーンへの影響は同じ。企業の設備投資判断や価格転嫁の動きを含め、今後数週間は実体経済への波及を丁寧に追う必要がある。
本日の注目イベント
- 東京市場休場(天皇誕生日)
- トランプ大統領の15%グローバル関税──詳細発表と各国の反応
- NVIDIA決算(2月25日)を控え、AI関連銘柄のポジション調整
- Blue Owl問題の波及範囲、プライベートクレジット市場の後続報道
- 米イラン核交渉の進展
マーケットデータ
| 指標 | 値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均 | 56,825 | -1.12% |
| TOPIX | 3,805 | -1.20% |
| S&P 500 | 6,909 | +0.69% |
| NASDAQ | 22,886 | +0.90% |
| ダウ平均 | 49,625 | +0.47% |
| USD/JPY | 154.29 | -0.87 |
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
