サマリー: トランプ大統領が「イラン戦争はほぼ終わった」と発言し、原油価格が1日で最大15%急落。日経平均は前日の暴落から+1,519円(+2.88%)の急反発を見せた。ただし米国株は小動きにとどまり、リスクオフの完全解消には至っていない。
米国市場
3月10日(火)の米国市場は、イラン情勢と原油をめぐる混乱で激しく揺れた末にほぼ横ばいで終了した。S&P 500は6,781(-14.51、-0.21%)、NASDAQは22,697(+1.16、+0.01%)、ダウは47,706(-34.29、-0.07%)。
朝方はリスク回避の売りが先行したが、トランプ大統領が「戦争はvery complete, pretty much」と発言すると一転して買い戻しが広がった。WTI原油先物は一時15%超の急落を見せ、83.45ドルで終了。ブレントも87.80ドル(-11.28%)まで下落した。前日に100ドルを突破していたことを考えると、わずか1日で20ドル近い値幅が出たことになる。
ただし引け後にホワイトハウスが「海軍がホルムズ海峡でタンカーを護衛した事実はない」とエネルギー長官の発言を否定するなど、情報の混乱が続いており、市場は確信を持てないまま取引を終えた。米10年債利回りは4.12%に低下し、安全資産への資金流入が続いている。
日本市場
日経平均は54,248円(+1,519円、+2.88%)と急反発した。一時は+1,900円超まで上昇幅を拡大する場面もあった。前日の歴史的暴落(-2,892円、過去3番目の下落幅)からの自律反発に加え、トランプ発言を受けた原油安が買い材料となった。
TOPIX連動ETF(1306.T)も3,847円(+2.48%)と大幅続伸。海外短期トレーダーによる先物の買い戻しが反発を主導した。ただし前日の下落幅2,892円に対して戻りは1,519円にとどまっており、半値戻しにも届いていない。
注目テーマ
原油20ドル急落の裏で──イラン戦争「終結」は本物か
3月8日に100ドルを突破したWTI原油が、わずか2日で83ドル台まで急落した。きっかけはトランプ大統領の「戦争はほぼ完了した」という発言だ。G7が緊急備蓄放出を検討していることも原油安に拍車をかけた。
しかし慎重論も根強い。ライト・エネルギー長官が「海軍がホルムズ海峡でタンカーを護衛した」と発言した直後、CNBCがこれを否定する報道を出すなど、政権内の情報が統一されていない。ホルムズ海峡の通行が完全に正常化しない限り、原油の供給リスクは残る。
米国のガソリン価格は全国平均3.54ドル/ガロンと1カ月で21%上昇しており、消費者心理への悪影響が顕在化しつつある。今週発表予定の2月CPIでエネルギー価格の押し上げ効果が確認されれば、FRBの利下げ期待がさらに後退するリスクがある。
原油が80ドル台で安定するのか、再び100ドルを試すのか──今後のイラン情勢次第で、株式市場の方向感が大きく変わる局面だ。
本日の注目イベント
- イラン情勢の続報:トランプ発言の実効性が問われる。停戦合意に向けた具体的進展があるか
- 原油価格の動向:WTI 80ドル台を維持できるか。再び90ドルを超えれば市場は再度動揺
- 日経平均の半値戻し:前日の暴落分(-2,892円)の半値戻し水準54,175円を上回って推移できるか
- 米2月CPI(今週発表予定):エネルギー価格の上昇がインフレ指標にどう反映されるか注目
- FF金利3.64%:FRBの金融政策スタンスに変化がないか、FOMC関連の発言に注意
マーケットデータ
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
