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週間レビュー 2026年2月28日:日経平均59,332円の最高値更新、米国株は関税・AI選別で反落

朝倉 隼人2026年2月28日6 min read
週間レビュー 2026年2月28日:日経平均59,332円の最高値更新、米国株は関税・AI選別で反落

サマリー: 日経平均は週間+3.6%と急伸し、一時59,332円の史上最高値を更新。エヌビディア好決算がAI相場の追い風となった。一方、米国株はトランプ関税15%やAIソフトウェア層への失望売りが重なり、S&P 500は-0.4%、NASDAQは-1.0%と反落。日米の明暗が分かれた1週間だった。

今週のハイライト

1. エヌビディア決算──AI投資サイクルの健在を確認

25日引け後に発表されたエヌビディアのFY26 Q4決算は、売上高681億ドル(前年同期比+73%)、EPS 1.62ドル(同+82%)と市場予想を上回った。データセンター売上は623億ドル(+75%)。来四半期ガイダンスの780億ドルもアナリスト予想を超え、Blackwellアーキテクチャの出荷本格化への自信を示した。ただし時間外の株価反応は+1.4%にとどまり、高い期待の織り込みが進んでいた。翌26日以降は「好決算でも売り」のパターンとなり、リテール投資家が取引開始80分で約3.6億ドルを買い向かう一方、株価はじり安が続いた。

2. トランプ関税15%発動──最高裁判決を迂回

最高裁がIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税を6対3で違憲と判断したが、大統領は即座に通商法第122条を根拠に10%のグローバル関税を発動、さらに週末に15%への引き上げを表明した。EU議会は米国との貿易協定批准を一時停止。法的根拠を変えて関税を維持する「いたちごっこ」が鮮明になり、米国株には終始重しとなった。

3. 日経平均59,332円──史上最高値更新

26日の東京市場で日経平均は一時59,332円をつけ、史上最高値を更新した。エヌビディア好決算を受けた半導体関連の買い、日銀審議委員人事でのリフレ派起用による利上げ観測後退、円安進行の三拍子が揃った。TOPIXも週間+3.3%と堅調で、物色の広がりが確認された。

日本市場の1週間

日経平均は前週末の56,826円から58,850円へ、週間で+2,025円(+3.6%)の大幅上昇となった。2月に入ってからの上昇幅は約4,600円に達する。

日別の推移は明確なV字回復だった。週初24日は連休明けの売りから57,321円(+0.9%)と小幅反発にとどまったが、25日には米ハイテク高を追い風に58,583円(+2.2%)へ大幅続伸。26日にはエヌビディア効果で59,332円の最高値をつけた後、利確売りに押され58,753円で引け。週末27日は米テック安を引き継ぎつつも58,850円と底堅く、高値圏を維持して週を終えた。

注目すべきはTOPIXの動きだ。週間で約+3.3%と日経平均に匹敵する上昇率を記録し、特に27日は日経平均が軟調ななかTOPIXは逆行高を見せた。金融・内需株への資金ローテーションが進んでおり、相場の裾野が広がっている。日銀審議委員人事でリフレ派2名が起用される見通しとなったことで、追加利上げのペースが鈍化するとの観測が銀行株のバリュエーション修正につながっている。なお、新NISA口座は2,800万を突破し、個人投資家の市場参加が加速している点も見逃せない。

米国市場の1週間

米国株は3指数そろって下落した。S&P 500は-0.4%6,879、NASDAQは-1.0%22,668、ダウは-1.3%48,978。週を通じて関税リスクとAI銘柄の選別が二大テーマとなった。

23日(月)はトランプ関税15%を嫌気してダウが-821ドルの全面安。AnthropicのAIコーディングツール発表を受けIBMが-13%と急落──COBOL自動化によるITサービス代替リスクが意識された。サイバーセキュリティ株も軒並み売られ、AI雇用代替リスクという新たな売り材料が浮上した。24日は「Turnaround Tuesday」でADP雇用統計と消費者信頼感指数の好結果を手がかりに反発。25日もエヌビディア決算期待からNASDAQが+1.26%と上昇した。

転換点は26日だ。エヌビディアの好決算を消化した翌日にNASDAQが-1.18%と急落。セールスフォースとスノーフレークの決算がAIソフトウェア層の収益化ペースへの慎重な見方を呼び込み、インフラ層(エヌビディア)が好調でもアプリケーション層の収益化はまだ道半ばという構図が鮮明になった。27日も軟調が続き、米国株は週間マイナスで着地した。

セクター動向

半導体・AI(週前半は買い、後半に利確): エヌビディア決算を頂点にAI関連は上下動が激しかった。決算前はPalantir(+4.2%)やAMD(Meta向け新AI半導体契約報道)が物色された一方、決算後はソフトウェア系が売られる「AI層別の選別」が始まった。ヘッジファンドの米ソフトウェア株ショートポジションは過去最高の3.8%に達しており、2022年比で90%増。機関投資家のAIソフトウェア層に対する慎重姿勢が数字にも表れている。

金融(底堅い): ダウ構成の工業・金融株は週後半の下げ局面でも底堅く推移。日本でも銀行株に出遅れ修正買いが入り、TOPIXの逆行高を支えた。

防衛(急落→反発): 中国が日本の防衛関連企業20社をブラックリストに追加し、三菱重工(-4.4%)、IHI(-7.7%)が急落。翌日には反発し、構造的な成長セクターとしての底堅さを示した。

安全資産: 金が5,192ドルと最高値を更新。関税リスクとリスクオフの受け皿として資金が流入した。

来週の展望

  • 米1月PCE物価指数(本日28日発表)── Fedが最重視するインフレ指標。結果次第で週明けの地合いが決まる
  • FOMC関連要人発言が集中する見込み。利下げ・据え置きシナリオの手がかりに注目
  • トランプ関税15%の実務影響 ── 150日期限の通商法第122条関税に対する各国の報復措置
  • 日経平均59,000円台の定着なるか ── エヌビディア効果一巡後、実需の買いが続くかがカギ
  • AIバリューチェーンの評価見直し ── インフラ層→ソフトウェア層への物色シフトが進むか
  • 東京都区部CPI ── 日銀利上げ判断の材料。リフレ派人事と合わせて政策見通しに影響

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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